日本は四方を海に囲まれた、世界有数の豊かな漁場に恵まれた国です。このような環境のもと、日本人は昔から魚をおいしく食べるための知恵を生み出し、新たな調理方法やメニューを編み出しながら、多種多様な海の恵みを余すことなく利用してきました。長い間の営みにより培われてきた「魚食文化」が、脈々と息づいています。
ところで、各国の国民1人当たりの魚介類供給量と平均寿命の関係をみると、魚介類を多く食す国ほど平均寿命が長い傾向がみられます。わが国が長寿国であるのは、魚食が大きな影響を与えているとも言えます。しかし、近年、日本の魚介類の摂取量は低下しています。国民1人1年当たりの魚介類の摂取量は平成7年をピークに、13年以降は毎年減少しています。魚介類の摂取量が長期的に減少傾向にあるのに対し、肉類の摂取量はほぼ横ばいで推移しています。平成18年には肉類の摂取量が魚介類を上回り、その差が拡大しています。動物性食品摂取量に占める魚介類の比率は、60歳代以前の成年、若年世代で低下しており、「魚離れ」が深刻化しています。
そのような中、数年前から「フルーツ魚」が市場に出回っています。フルーツ魚とは、養殖生産者が魚の臭みを抑える餌の開発など品質改善に取り組み、餌にかんきつ類などの皮やジュースの搾りかすなどを混ぜて育てた魚のことです。魚嫌いな人が指摘する魚臭さや生臭さを抑えるだけではなく、果物の抗酸化作用で魚が傷みにくくなり、切り身の変色を遅らせる効果もあります。
高知大学が開発し、2007年に販売された鹿児島県の“柚子鰤王”(ゆずぶりおう)が火付け役となりました。魚種にブリ、カンパチ、ヒラメ、ハマチ、アユ、サケなどがあります。使用される果物は、ミカン、ユズ、スダチ、カボス、レモンなどです。オリーブやハーブを用いた養殖魚もあります。各漁協は地域の特産品を使うことで地域色を打ち出し、オリジナルブランド魚の付加価値の向上を目指しています。フルーツ魚の育成は、ミカンやユズなど果汁を絞った後に大量に排出され、処分に困る皮などの有効利用に繋がっており、廃棄物削減に貢献しています。
和食が2013年12月にユネスコの世界無形文化遺産に登録されたこと等から、世界中で和食への関心が高まっています。健康志向から世界各地で魚を食べる人が増えています。寿司は今や世界共通言語となり、多くの国で食べられています。和食にとって魚介類は重要な食材のひとつです。
和食の要であるも魚食文化の伝承は、地方創成につながります。世界中の人々がいつまでも魚を食べ続けることができるよう、消費者の水産資源保護への関心の高まりが望まれます。

 

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