半年前のことになりますが2018年2月17日(土)にウインクあいちにて、消費生活研究所の研究報告会を開催しました。

研究所の紹介と3編の研究報告の後、NACS中部支部の会員他の皆さま40名の参加者と報告内容毎のテーマに分かれて、意見交換をしました。

 

概要は次のとおりです。

(1)NACS消費生活研究所はこんなところです(所長・戸部依子)

①発表内容

消費生活研究所は、NACSの設立10周年を記念して1997年に設立された研究機関である。

生活経済、食品安全、製品安全、消費者教育、消費者政策、環境問題、CSRなど、広く消費生活をめぐる諸問題について研究活動を行ってきた。我々の研究は、消費生活に関わる課題を消費者の視点で情報を整理したり、解決や改善の手段を提案することを目的としている。

②意見交換

・NACS消費生活研究所の存在については、知らなかったとの声や、知ってはいるが、

アクセス方法が見いだせないとの声があった。

・NACSの活動としての在り方について、研究員個人の研究に加え、NACSとして取り

組むべき課題を軸とする研究、各支部と連携した共同研究についても提案があった。

・消費者教育について各支部、各会員が活発に取り組んでおり、研究所の成果を消費者

教育の教材に活用しやすいように提供することに期待するとの意見もあった。

 

(2)Fin Tech時代の金融経済教育の重要性と課題

-生活スキルとして最低限身につけるべき金融リテラシー-(研究員・松島一恵)

①発表内容・今後の展開

金融分野において、Fin Techという新潮流が様々な施策として推進されている。Fin Techという技術革新には、従来の規制では捕捉しきれない消費者問題を内包していることにも留意し、消費者教育・金融経済教育を相互補完しながら展開していくことが必要になってくる。また、今後の課題として情報に対する信頼性が重要になってくるが、消費者にとって速報性があり、経済専門誌として認知されている日本経済新聞の報道をもとに仮想通貨のリスクと留意点について情報提供を行った。

②意見交換会の概要

団塊の世代にとっては投資するリスク、現役世代にとっては投資しないリスクが存在するが、持続可能な経済活動に寄与していくことも消費者に課せられる大切な役割であると再認識をした。

・個人のセーフティネットが必要。負け方でも、プロは損失が最小限であるが、アマチュアは大きく負ける。知っている人と知らない人の差が大きい。

・定年し、老後の生活を考えている。退職金に証券会社等がむらがってくるが、消費者には基礎知識がない。儲かるとあおったりすることには、注意が必要。

・学校教育が必要。しかし、潜在的にお金に対するアレルギーがあり、困難な面もある。

・「わからないことには、手を出さない」ことが基本だと、伝えることが必要。

 

(3)海のエコラベルの推進と消費者の役割-東京五輪の持続可能な水産品調達から考え

る-(主任研究員 浅野智恵美)

 

①発表内容

将来にわたる水産資源の保全は、食の確保と漁業の繁栄に不可欠である。乱獲や枯渇が問題となる中、世界各国で海のエコラベル付製品が普及し注目が高まっている。しかし、日本は危機感が広がっておらず、海のエコラベル付水産製品の販売数の少なさや、消費者の関心の低さなどの課題が山積している。

一方、スポーツの祭典を通じて環境や資源を大切にする流れを広げようとする取組が、2020年の東京五輪で進められている。環境保全や資源の持続的利用を重視する東京五輪は、食材などの持続可能な調達が重要な開催要件となっている。水産物では乱獲や違法な漁業への対応、小さい魚まで獲るのを減らす取組など、魚などの水産資源を守るための管理ができていると第三者機関が審査して認証したものを推奨している。

国際オリンピック委員会(IOC)は、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った大会運営を求めている。SDGsの目標14に「海の豊かさを守ろう」が、目標12に「つくる責任、つかう責任」がある。世界の環境取組の潮流に遅れをとらないためにも、海のエコラベルの推進と消費者の役割について現状報告と課題提供を行った。

 

②意見交換会の概要

・MSC認証商品は魚の切り身など加工製品が多いと感じている。日本のMSC認証漁業数が少ないことなどから、海外の認証水産物が冷凍で輸入されているためではないか。

・サステナブルシーフードに対する取組は欧米の先進国が進んでおり、アジアやアフリカ諸国はまだまだといった感がある。環境保全に対する意識の違いや脆弱な資金力、経済的格差、教育内容の違いなどが影響しているのではないか。

・ニホンウナギが減少しているニュースは耳にするが、水産資源全体に対する危機感が消費者に広がっていない。

・SDGsの達成期限は2030年である。サステナブルシーフードに対する日本の水産資源マーケットの取組を加速し、消費者意識の向上をはかる必要がある。

 

(4)景品表示法による表示規制と小売業者による体制整備の留意点

(研究員・愛知学院大学商学部講師 岡野純司)

①発表内容

平成26年に景品表示法が2回改正され、事業者に表示等の管理措置(法令遵守体制)を講じることが義務化されるとともに、不当表示に対する課徴金納付制度が導入された。

不当表示規制の概要を確認し、ここから不当表示発覚時の事後対応の重要性および体制整備レベルの目安を明らかし、次に百貨店・スーパーの規制事例から、川上への表示の根拠情報確認の必要性、注意すべき商品分野等について指摘し、加えて不当表示の表示主体の捉え方等に関する論点を検討した。消費者に対して表示を直接行う小売業者が表示等の管理措置を整備する上の留意点、特に費用対効果を勘案した効率的な体制と、この体制が効果的に機能する体制の整備がそれぞれ必要であり、この実現のためのポイントを指摘した。

 

②意見交換の部の概要

・表示内容の根拠を川上に遡って確認する程度の具体例について

・不当表示となる範囲の具体例について(消費者の誤認の有無等)

・行政処分(措置命令)と消費者の民事的な被害回復の関係性について

意見交換の部への参加会員の多くが企業の勤務者、消費生活センターの相談員等であり、それぞれ不当表示について具体的な知見を有しているため、これらに基づいて活発な質疑・意見交換が行われた。

 

以上