日時:平成28年11月9日 10時~12時
場所:有限会社ユニオンファーム(茨城県小美玉市)
内容:ハウス・作業場の見学、意見交換
平成28年9月に実施したセミナーに引き続き、実際に農場でGAPの仕組みがどのように運用されているのかを知るために、有志参加による見学会を実施しました。
最初にユニオンファームの玉造さんから農場の概要について説明がありました。ユニオンファームは2000年に農業資材販売業から参入した農業生産法人で、非農家出身者によって新しい農業のやり方を見つけて行こうと、「新農創造」をコンセプトにしています。創業の年はちょうど環境保全型農業である有機JASが始まった時でした。有機JASに取り組むなかで農業にも工程管理の考え方が必要であることに気づき、JGAP基準書をテキストにしながら、栽培工程、収穫工程、農産物取り扱い工程の見直しを図っていきました。食中毒や異物混入、働く人達の安全(労働安全)に対する基準は有機JASにはないGAPならではのもので、工程管理を導入して生産性を向上させることで、より良いものを、より長く提供できるようになったということです。2006年にはJGAP認証、2015年にはGlobal G.A.P.認証を取得しています。
いよいよ栽培工程の見学です。なるべく農薬を使わない種類の種を選び、肥料も化学肥料が含まれていないものを使います。土の状況に合わせて、栄養分の足りないものは組み合わせを考えて補充します。日本の農地は狭く細切れに分かれおり、持ち主の異なる農地が隣接していることもあります。隣接地の持ち主には、ユニオンファームのハウス出入り口を閉めてから農薬を撒いてもらうように、あらかじめ取決めをしてあるということでした。ハウス内の散水に使う水は地下水を利用しており、この水も細菌が混ざっていないか保健所に検査をしてもらうなど水質汚染状況を確認しています。連作障害を防ぐため、「チンゲン菜→レタス」など、異なる農作物を作付けする輪作を計画的に行っています。
収穫工程に関しては、機械や車両、容器・備品・油・掃除用具などを補完する倉庫内を見学させていただきました。機械・用具の収納場所は整理・整頓されており、貼り紙によって保管すべき位置が指定されています。保管場所に大きさの揃った用具が並んでいる様子は、さながら“カイゼン”が導入された工場を見ているかのようでした。また、農薬の管理も厳重に行われ、収穫した農作物と農薬を運ぶカートは別々にするなど、混入を防ぐ手立てが講じられていました。
農作物取扱工程見学のため野菜を袋詰めする建屋に入る際は、筆記用具はボールペンのみという注意を受けました。鉛筆やシャープペンシルだと、芯が折れて異物が混入するおそれがあるからというのが理由です。もちろん袋詰めを行う作業員は髪の毛の混入を防部ために帽子着用が義務付けられてます。他にも、ガラスが飛散しないようにLED照明を設置したり、掲示物には画鋲を使わず磁石で留めるなど、異物混入に関する管理が徹底されていました。
見学後の意見交換では、栽培中の管理やトレーサビリティ、JGAPマークのことなどについて、消費者側からの質問に丁寧に答えていただきました。JGAPの認証は、消費者向けというよりも、むしろ流通の仕入れ基準として機能している実態を伺い、もっとJGAPマークの認知度を高めていく必要性があることを感じました。食の安全がどのように守られているかを知ることは、食の安心にもつながっていくことを実感した一日でした。