わが家のキッチン!HACCP対応!! (第5話)
これまで、設備や器具をみてきましたが、今回は、「水」と「防虫対策」です。
毎日使う水・・・
毎日使っている水について、どのようなことに気をつけていますか?
水道水については、自治体毎に定期的に、浄水場の出口と蛇口での水質を定点で測定しています。検査項目は、一般細菌数、大腸菌、カドミウム及びその化合物、鉛及びその化合物、pH、味、臭気など水道法に基づいて水道基準に関する省令に定められています。そして、毎日、残留塩素濃度を測定しています。
このようにして提供されている水に細菌を混入させたり、水質を悪くしないようにすることが大事です。
井戸水を調理に使っておられるおうちもあるでしょう。自治体のホームページによると、井戸毎に定期的に水質検査を受けることを奨めています。使う時には、色や濁り、におい、味などに注意しましょう。細菌や何か別の物質が入っていても気づかないこともあるかもしれません。周辺の水質に関する情報などを日頃から収集しておきましょう。
また、水道水、井戸水、いずれも、おかしいな?と思われたことがあれば、保健所に相談しましょう。
食品工場でも、ジュースやスープなど製品のレシピとして水を使うことはもちろん、設備の洗浄、保温、冷却など直接、間接的に「水」が登場する場面はたくさんあります。いずれの「水」も安全性に大きく影響します。
毎日、始業前に受水槽の水と蛇口から出る水のにおい、味、濁りの確認(官能による検査)と、残留塩素濃度の測定をします。規定の範囲を超えた場合には、原因を究明し、必要な措置をとり、再確認の上、使用をします。また、定期的に外部の検査機関に水質検査を依頼し、水質の確認をします。
製造に井戸水を使用することもあります。その場合も、始業前の官能による検査と残留塩素濃度の測定をします。また、井戸水を使用する際には、殺菌装置や浄水装置を使用することが多く、これらの装置の点検をします。
そういえば、集合住宅では、「給水設備の点検のお知らせ」というのがありますね。年に1回だったか2回だったか・・・。
フィルターの定期点検と交換を!
浄水器を使用する場合には、フィルターやカートリッジの交換を適切に行わなければ、除菌効果が得られません。水の状態や使用量にあわせて、交換をします。交換のタイミングは取扱説明書などで確認しましょう。
食品工場では、製品や製品に接するところに使う水は殺菌灯やフィルターを通して使います。特に、フィルターは、食中毒原因微生物を除去する役目はもちろん、配管が古くなって、錆びが出たり、破損していないかを確認する意味でも重要です。フィルターにつまっているものを分析することもあります。また、フィルターの交換が適切に行われるように、前回交換した日、次回の交換時期などがわかるように、機械に表示したり、記録として残したりします。この交換のタイミングが適切であることを殺菌灯やフィルターを通過した水の水質検査結果(一般細菌数、大腸菌群など)で確認します。
冷蔵庫の製氷機。
殺菌灯がついているけど・・・
汚れすぎたら効果がない!かも!?
虫やねずみは退治するより、寄せ付けないことが大事!
季節がめぐってくれば、どこからともなくコバエがやってきます。キッチン以外でも、衣類を食べ散らかす虫など・・・嫌なものです。
一度、発生すると駆逐するのが難しいのでやっかいです。
キッチンには、虫が大好きなものがたくさんあります。生ゴミやレンジ付近の汚れなど、虫を寄せ付けないように、密封し、汚れをとりのぞきましょう。
流し台と壁のすき間などは掃除が行き届かないところの1つです。掃除ができないほどのすき間は埋めるか、テープなどで、間に食べものが落ちないように工夫をします。
フードストッカーや米びつなどは、虫の住み処になりやすいので、時々、洗いましょう。また、保管場所は、低温、低湿度に保ちます。
シンクの排水管も汚れが付着したり、流れが悪くなったりすると、においが発生し、虫が寄ってきます。排水口、排水管の掃除も忘れずに!
そして、スプレーの殺虫剤を使用する際には、食べ物や食器、調理器具にかからないように注意しましょう。また、コンロなど火種があるところでは、スプレーのガスや薬剤に引火するので絶対に使わないことです。
食品工場での衛生管理のうち、防虫・防鼠(ぼうそ)も重要な項目です。
補虫器をしかけますが、これは、虫をとることが一番の目的ではありません。しかけた場所毎にとれた虫や数を確認して、どんな虫がどの場所に発生しやすいのかを把握することが目的です。そして、虫や鼠が通ったり、入り込むすき間を埋めたり、設備の配置、原料や製品の置き場を変えるなど、効果的な対策を検討します。
また、そもそも工場に虫や鼠を近づけないように、建物の近くに木や草を植えないことや、外回りの掃除、排水溝に蓋をしたり、防虫ライトをつけたりします。建物の外や製造現場内に水たまりができると、においが発生し、虫を寄せ付ける原因になります。水たまりができないように傾斜をつけたり、濡れた時にはすぐに乾かすなどの対応をとります。
また、必要に応じて、薬剤による駆除も行いますが、その薬剤が製品に混入しないように、使用薬剤を選び、使い方のルールを決めます。
排水がよどみなく流れていないと、細菌が増えたりや虫が発生しますので、排水処理設備の能力の確認や濁りやにおいの点検もします。
次回は、人の衛生管理について。
何事も健康第一!という話。