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わが家のキッチン!HACCP対応!! (第8話)

わが家のキッチン!HACCP対応!! (第8話)

ここまでは、食品を取り扱う環境や人について述べてきました。
今回は、食品の取扱いについてです。

 

まずは買い物から・・・

私たちは、普段、どのようなお店、どのような方法で食材あるいは食品を購入しているでしょうか?
いつものお店、お得なお店、店員さんが親切なお店、新しくオープンしたお店・・・など、毎日同じようですが、買う物、買う時、生活パターンなどによって、上手に使い分けているのではないでしょうか。
また、お店で選ぶ商品も、鮮度や価格、大きさや1つ単位の量など、食材の使い方やメニュー、食べる人の状況にあわせて選んでいます。最近はQRコードやホームページなどで食材の生産履歴や使用原材料など詳しくわかるようになってきましたので、これらを確認して選ぶことも可能になりました。
一方、衛生状態、たとえば、食中毒菌に汚染されていないことを店頭や商品の外観で確認することは難しいです。あきらかに腐っていたり、色がいつもと違っているなど外観や嗅覚で確認できる場合は別ですが。
このように、五感や文字情報では確認できないこともあるので、生産から店頭までの管理の状態が適切に行われていることが確認できたり、信頼できるお店を選ぶことも重要です。たとえば、適切に管理できているかどうかは、店頭での保管状態(冷蔵品は冷蔵状態になっているか。冷凍品は霜がついていないか。常温保存品は直射日光や高温になるところに置かれていない。など)を確認すると良いでしょう。

食品工場では、一度に大量の食品を製造するので、どれか1つの原材料(食材だけではなく包装材料も含めて)に問題があった場合でも製品が作れなくなったり、作った製品を売ることができなくなったら、困ります。ましてやお客さんが食べた後に不具合が見つかり、健康被害が出たらたいへんです。
そんなことにならないように、原材料を購入する会社に求める基準や約束事、購入する原材料の規格(確認や検査をする項目と基準)を事前に決めて、守れることを確認してから取引を開始します。そして、原材料を入荷するたびに、その規格にあっているかどうかをチェックし、規格にあわないものは、原則受け入れません。また、会社に対しても引き続き約束が守れているかを定期的に確認します。
そして、納入された食材の状態が悪かったり、約束ごとが守れなかった場合には、食品メーカーは原材料を購入する会社に是正を求めるとともに、協力して、なぜそのような状態になったのか、原因を究明し、再発防止策をたてます。

 

 

食品メーカーが原材料を購入する会社(生産者も含む)に確認する内容の例をみてみましょう。
◆経営方針(経営者がその原材料を使う企業、そして、最終的に食べる消費者をどのように考えているか。食品の安全性に対する認識はどうか。)
◆原材料を生産したり、加工する現場の衛生状態や品質管理の状態。
◆そこで働く人たちの衛生や品質に対する意識と行動。
◆納期や生産量を守れる体制。
◆価格が適正であること。
◆問題があった場合に適切に対応できる体制。

 
このようにしてみると、私たち消費者が買い物をするお店を選ぶ時に気をつけていることと、あまり違いはありませんね。むしろ、消費者が商品やお店に求めていることと、商品を作る食品メーカーが原材料の購入先に求めることが同じであることが重要で、そのことが信頼につながっているのではないでしょうか。

買い物が済んだら、持ち運びと保管です!

 

 

お持ち歩きの時間はどのくらいですか?  30分ほどです・・・のはずが・・・

最近は、マイバックの仕様もバラエティに富んできました。保冷の機能がついているものもあります。また、お店では保冷剤やドライアイスのサービスも普及しています。
当たり前のことですが、保冷機能のバックに入れても、保冷剤をつけてもらっても・・・長い立ち話や寄り道をしていては、効果減少!早めに家に帰るのが、良いのです。

食品工場に原料を収める会社や食品工場では、食材やできた製品をトラックで倉庫やお店に運びます。もちろん、それぞれの食材や製品を安全に保てる温度で運ばなければなりません。
トラックに積み込むときの食材や製品の温度、トラックの荷台の温度、そして、積み込み時間などを決めておき、その通りに行われていることを確認します。トラックの出発時間と到着時間、荷台の温度をモニタリングする場合もあります。
もちろん、温度だけではなく、トラックに複数の食材や製品が積み込まれる場合には、一緒に積み込まれているものの汚れやにおいが移らないことの確認もします。

私のマイバックも・・・そろそろ、洗濯した方が良いのかなぁ~。

 

 

食品表示で保管場所も衛生状態と温度の確認を!アレルギー原因物質にも注意!

食品に消費期限や賞味期限が書かれていますが、それは、決められた保管方法を守っている状態の時です。これら、「期限」と「保管方法」はセットで確認する必要があります。また、これら「期限」は未開封の状態ですので、開封したものは、早めに食べましょう。
冷蔵庫の整理をしていると、結構、使いかけの商品がどっさり!なんてことはありませんか?
保管中に腐敗したり、傷んだり、虫が入らないようにするのは、当然なのですが、アレルギーの原因となる食材の保管にも注意が必要です。特に、小麦粉やそば粉など、微細な粉やくずれた時に粉状になる食材は、保管中に他の食材や調理器具に付着したり混ざったりする可能性もあります。これらアレルギーの原因となる食材を保管する場合は、密封し、できれば、他の食材とは離して保管します。

食品工場では、保管する原材料や製品にあわせて、保管倉庫や保管場所の温度や湿度を決めます。大きな倉庫や広い場所では場所によって、状態が変わるので、空気を循環させたり、温度が高くなるところには、シートをかぶせるなど、できるだけ均一になるように工夫をしたり、複数の場所で温度・湿度チェックをしたりします。
また、“先入れ先出し”といって、「先に入荷した原材料から使う」「先に作った製品から出荷する」というルールがあります。ルールを守ることができるように、常に、古いものが手前にくるように、入れる時から使うことを想定し、ある程度スペースに余裕をもたせて入れます。また、自動的にそのように配置できるような大型倉庫もあります。
使いかけの原材料などは、いつ開封したかを記録しておいたり、いつまでに使うかを袋に記載したりして、まちがって使ったり、いつまでも保管されていたりしないように工夫しています。
もちろん、使いかけの原材料が多く出ないように、原材料の在庫管理を行ったり、生産計画を綿密に行ったり・・・と、前段階での管理に工夫をします。これは、結構、プロ技!のようです。
また、アレルギーの原因となる食材は、他の食材とは別の場所に保管したり、飛散しないように密封容器入れるなどの対策がとられています。

 

 

次回は、使う前や調理中の食品をチェック!

くらしに役立つミニ知識

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