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紛争解決手続 <その1>家事調停

紛争解決手続 <その1>家事調停

調停には、地方裁判所や簡易裁判所で行う民事調停と家庭裁判所で行う家事調停があり、調停委員も、民事調停委員と家事調停委員に分かれています。調停は裁判とは違って、非公開の場で行われます。

1.家事調停とは

家事調停は、離婚、離縁、夫婦間の生活費の分担、養育費の請求、遺産分割といった家庭内の争いを対象として家庭裁判所で行われる、合意による解決を目指す手続きです。申し立てが簡単で誰でも申し立てることができ、費用も安く設定されています。

申立人による調停申し立てを受けて、調停事件について、裁判官1人と民間人から選ばれた調停委員2人以上(通常は2人)で構成される調停委員会が、当事者双方(申立人と相手方)に事情を尋ねたり、意見を聴いたりして、当事者双方が納得の上で問題を解決できるように、助言やあっせん、解決案の提示を行い、法的な枠組みを基本に置きながらも、判決と違い、どちらが正しいかといった白黒をはっきりさせるものではなく、争いの実情に応じた柔軟な解決を図る手続きです。当事者双方に合意ができると、原則として、合意事項を書面(調停調書)にして調停は終了します。その記載は、確定した判決や審判と同一の効力があり、内容によっては、合意を守らない相手に対して強制的に義務を履行させることができます。

家事事件の手続を定めている法律は家事事件手続法(以下「家事法」といいます。)です。以前の家事審判法に代わり、平成23年5月19日に成立、平成25年1月1日に施行されました。

2.家事調停事件の類型

家事調停の対象となる争いごとの内容によって家事調停手続きが異なり、家事調停事件の類型は下記(1)から(3)の3つがあります。

(1)一般調停事件
家庭に関する紛争等の事件のうち下記(2)と(3)を除いた事件を一般調停事件といいます。離婚や離縁、夫婦関係の円満調整などが代表的な例としてあげられます。調停が不成立の場合、最終的な解決のためには、改めて家庭裁判所に人事訴訟を提起することになります。

(2)別表第二調停事件
家事法39条の別表第二に掲げる事項についての事件で、親権者の変更、養育料の請求、婚姻費用の分担、遺産分割などがあります。これらの事件は当事者間に争いのある事件であることから、第一次的には当事者間の話合いによる自主的な解決が期待され、主に調停によって扱われますが、審判として扱うこともできます。これらの事件が調停として申し立てられ、話合いがつかずに調停が成立しなかった場合には、審判手続に移り、審判によって結論が示されることになります。

また、当事者が審判を申し立てても、裁判官がまず話合いによって解決を図る方がよいと判断した場合には、調停による解決を試みることもできることになっています。調停が不成立の場合は、自動的に審判手続が開始されます。家事審判は、裁判官が様々な資料に基づいて判断し決定する手続です。

(3)合意に相当する審判事件
協議離婚の無効確認、親子関係の不存在確認、嫡出否認、認知、認知無効、離縁無効などがあります。これらは、本来、当事者間の協議で任意に処分することは許されませんが、特別の手続きにより調停で処理することとされた事件です。当事者間に、家事調停の手続において、審判を受けることについて合意が成立しており、申立てに係る原因事実について争いがない場合には、家庭裁判所が必要な事実の調査をした上でその合意が正当と認められるときに、合意に相当する審判が行われます。審判が確定すると、確定判決と同一の効力が認められます。また、調停が不成立の場合、最終的な解決のためには、改めて家庭裁判所に人事訴訟を提起する必要があります。

※ 人事訴訟
離婚や認知など、夫婦や親子等の関係についての争いを解決する訴訟を人事訴訟といいます。そのうち、代表的なものは離婚訴訟です。離婚訴訟では、未成年の子どもがいる場合には離婚後の親権者を定めるほか、財産分与や子どもの養育費などについても離婚と同時に決めてほしいと申し立てることができます。また、離婚訴訟とともに、離婚に伴う慰謝料を求める訴訟を起こすこともできます。
夫婦や親子等の関係についての争いは、基本的に話合いにより解決するのが適当であるとされるので、まずは家事調停を申立てることになりますが(調停前置主義)、家事調停で解決ができない場合には、人事訴訟を起こすことになります。人事訴訟は、裁判官の判決によって争いを解決するほか、離婚訴訟や離縁訴訟については、和解によって解決することができます。

3.調停の成立と不成立のいろいろ

(1)調停の成立
調停において当事者間に合意が成立し、内容を調停調書に記載したとき、調停が成立します(家事法268 条1 項)。調停を成立させる場面においても電話会議システム又はテレビ会議システムを利用することができますが、離婚及び離縁の調停事件においては、認められません(家事法268 条)。

(2)調停に代わる審判
家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件解決のため必要な審判をすることができます。この制度は、主として、頑迷な一方の当事者の意向により、又はわずかな意見の相違により調停が成立しないような場合や、一方当事者が手続追行の意欲を失っているような場合に、当事者に異議申立ての機会を保障しつつ(286 条5 項)、裁判所がそれまでに収集された資料に基づき、合理的かつ具体的な解決案を示すというものです。

(3)調停の不成立
当事者間に合意が成立する見込みがない場合や、調停委員会が成立した合意が相当でないと認める場合には、調停は不成立となり、家事調停事件は終了します(272条1項)。

(4)申立の取下げ
家事調停の申立ては、原則として調停事件が終了するまでは、申立人はその全部又は一部を取り下げることができます(273 条1 項)が、合意に相当する審判がされた後の家事調停の申立ての取下げには相手方の同意が必要です(278 条)。さらに、調停に代わる審判がされた後の家事調停の申立ての取下げは認められません(285条1項)。

(5)調停しない措置
申立人が不熱心で話し合いが進まない場合などについては、調停をしないこととするか(271 条)、不成立とすることになります(272条)。

4.家事事件手続法

家事法制定までは、家事事件の手続については家事審判法(昭和23年1月1日施行)が定めており、同法は制定以降、大きな改正がされていませんでした。その後、家族をめぐる状況や国民の法意識は大きく変化してきており、家事事件の手続を国民にとって利用しやすく、現代社会に適合した内容とするために、全面的に見直し、新たに家事事件手続法が制定されることとなり、家事審判法は廃止されました。見直しにおいては、①当事者等の手続保障を図るための制度を充実させることと、②家事事件の手続を、国民にとってより利用しやすいものとすることの2つの点がポイントとなりました。

家事法施行以後に新しく行われることとなったこととしては、例えば、調停の初回冒頭に当事者双方に同席してもらい、調停手続について全体的に説明すること(特段の事情があり同席が相当でない場合などを除く)や、当事者間の情報共有化を目的として、手続の円滑な進行を妨げるおそれがある場合を除き、申立書の写しを調停開始前にあらかじめ相手方に送付することなどがあります。家事審判法では、申立書の写しの送付は法律上、明文の規定がなかったのですが、申立書の写しが送付されるようになり、相手方は申立ての内容をよく把握した上で、自分の言い分などを準備することができるようになりました。また、当事者が遠隔地に居住しているときなどには、当事者の意見を聴いて、電話会議やテレビ会議システムを利用して調停手続を行うことができることも明文化しました。

5.調停委員について

調停委員は一般市民から選ばれ、最高裁判所が任命します。任期は2年で、非常勤国家公務員の身分を持ち、守秘義務を負っています。家事調停では、争い事が夫婦・親族間の問題であるため、男女1人ずつの調停委員が裁判所により指定されます。

6.家事新受事件の最近5年間の推移(平成26年)

kajichotei出所:裁判所ホームページ「裁判所司法統計」

 

※家事事件の手続等について、詳しくお知りになりたい方は裁判所ウェブサイト(http://www.courts.go.jp/)をご覧ください。

くらしに役立つミニ知識

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