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消費者志向経営企業探訪

消費者志向経営企業探訪

日立アプライアンス株式会社栃木事業所見学会
~「死に様試験」と製品安全への取組み~

日立アプライアンス株式会社は、「製品安全対策優良企業表彰」(経済産業省)において平成19年度は金賞、平成27年度は商務流通保安審議官賞を受賞するなど、その製品安全への取組みは高く評価されています。今回の見学会では、同社の栃木事業所を会員16名で訪問し、冷蔵庫製造現場と最悪状態確認試験室を案内していただきました。

 

冷蔵庫製造ラインでは、本体の躯体を折り曲げる工程などオートメーション化されているものも多いなかで、配線や断熱材を扱う作業など細かい配慮が必要な工程は人の手で行われていることが確認できました。最後の工程では生産したすべての製品に対して45分程度通電し、問題がないかをチェックしています。海外で製造すればコスト削減できるところを、品質重視の観点から国内で生産を行っているとの説明がありました。

 

とくに同社の製品安全対策として興味を引いたのは、次に見学した「最悪状態確認試験室」(通称「死に様試験室」)(注1)でした。同社では、熱を発する基板部分を鉄板で囲い、万が一、基板から発火しても本体への延焼を防ぐ工夫をする一方で、その製品をあえて燃やす「死に様試験」を行っています。たとえ発火しても他の物に燃え移らずに燃焼するかどうか、その過程(死に様)を確認することで安全性評価に繋げているとの品質保証センタ長の説明には、製品安全に対する強い信念が感じられました。

 

現在、同社は企画・開発・量産の各段階においてリスクアセスメントを基に製品安全対策レビューを行うなど、社内において製品安全確保体制を構築しています(注2)。しかし、品質保証センタ長からは、現在の体制に至るまでの間に、さまざまな試行錯誤が繰り返されてきたことが語られました。STAGE1(1985~1990年)では、発火事故から教訓を得て、安全保護装置(ヒューズ)の装備と発火元であるコンデンサを鉄板で囲うことで発火・燃焼を防ぐ仕組みを導入しました。この時期に「死に様試験」が開発され、製品安全十戒が制定されました。STAGE2(2000~2006年)では、洗濯と乾燥両方の機能を併せ持つ製品によるリコール問題が発生し、現在のようなリスクアセスメント体制の整備に取り組む契機となりました。STAGE3(2007年~現在)では、消費生活用製品安全法改正で製品事故情報報告・公表制度が導入されたことを受け、消費者による誤使用を可能な限り予見することで、製品事故の未然防止に役だてています。

 

栃木事業所と同じ敷地内では株式会社関東エコリサイクルが家電リサイクル事業を展開しており、今回の見学会ではリサイクル工場も見学することが出来ました。同社の技術力とともに環境への寄与や製品安全性の向上に対する積極的な姿勢を知る良い機会となり、参加者からは、リサイクル工程を見学できたことは貴重な経験であった、製品安全に真剣に取り組んでいる姿勢がよく分かりましたなどの感想が聞かれました。

(2016年11月 本部広報委員会)

 

(注1)「死に様試験室」は通常の見学コースには含まれません。日立アプライアンス株式会社のご配慮・ご協力に深く感謝いたします。
(注2)製品安全確保プロセス(日立アプライアンス株式会社HP

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株式会社LIXIL ~製品安全への取り組み~

株式会社LIXILは、住まいと暮らしの総合住生活企業であり、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの統合各社と川島織物セルコンなどのグループ各社は其々長い歴史を有します。同社は、顧客や社会からの信頼獲得の源泉は「品質」であるとし、「品質方針」「製品安全行動指針」を定め、製品安全の確保に積極的に取り組んできました。その取り組みが高く評価され、2014年製品安全対策優良企業表彰(経済産業省主催)優良賞を受賞しています。そこで評価ポイントとして挙げられたのは、(1)経年事故防止の取組、(2)製品不具合の経験を新機能・他製品に反映するための取組、(3)社内外の啓発活動の推進の3項目です。私達は、このような製品安全への取り組みを「見て、聞いて、知る」ため「Safe Lifestyle Gallery 安全なくらしのギャラリー」を訪れました。

 

製品安全コーナー

製品安全コーナー

今回、私達が訪問した「Safe Lifestyle Gallery 安全なくらしのギャラリー」は、「LIXIL資料館」(東京都江東区)内に開設されており、住宅内の製品事故の原因・様子等を展示して社外に製品安全への取り組みを公開するコーナーです。「LIXIL資料館」のミュージアムでは、統合各社の企業姿勢や思想、発展の歴史を実物の製品に触りながら学ぶことができるようになっています。これまでの発行物や資料を閲覧するライブラリーコーナーも併設され、取引先をはじめ自動車メーカーなどの異業種企業や海外の取引先も見学に訪れて情報交換が行なわれているとのことです。電話で事前予約をすれば誰でも無料で「LIXIL資料館」の見学ができます。

 

「Safe Lifestyle Gallery 安全なくらしのギャラリー」は、「製品安全」「NITE(製品評価技術基盤機構)」「お手入れメンテナンス」「特別展示」の4つのコーナーで構成されています。

 

焼損したトイレ(再現品)

焼損したトイレ(再現品)

「製品安全コーナー」では、焼損したシャワートイレの再現品を始めとして、キッチンや洗面化粧台などの過去の事故事例を紹介し、その改善策、正しい使い方や点検修理の大切さといったことが分かりやすく展示・説明されています。なかでも、便座が温まらないという異常な状態で長期使用して起きたシャワートイレの焼損事故の再現品はインパクトがあり、材質の難燃性素材への変更や継目をなくすという製品の改善だけではなく、お客さまの所有者登録や日頃の点検・メンテナンスが必要なこと、製品には寿命があることなどについて改めて考えさせられました。

 

「特別展示コーナー」では、キッズデザイン賞(キッズデザイン協議会)受賞商品が展示されていますが、子どもの視点で使いやすさや安全性を考えていくことが製品安全に結びつくことを実感しました。そして、住まいの中では、ブラインドのひも、階段での転倒など様々な事故が発生しますが、キッズデザインの視点や基準で考えることが、誰に対しても安全な製品づくりに有効であるとの意を強くしました。また、「安全教育授業プログラム~家の中の安全を考えよう~」(小学校5・6年生向け)で平成26年度消費者教育教材資料表彰(消費者教育支援センター主催)優秀賞を受賞するなど、消費者教育においても積極的に製品安全の向上に取組んでいることに好感を持ちました。

 

また、同社では、社内の開発設計・品質担当者が過去の事故事例を学び、ISO/IEC Guide 51に基づく安全設計の基本概念を社内に根付かせる取り組みを行っています。このように、消費者と不具合情報も含めて積極的にコミュニケーションを取りつつ、全社的にしっかりと製品安全文化の向上を図っている企業姿勢が消費者志向経営の実現につながっていると感じました。そして、消費者も製品安全と日頃のメンテナンスがセットであることを理解して、リスクの概念や製品を使用する側としての自覚を持つことの必要性を考えさせられる良い機会となりました。

(2015年10月 NACS広報委員会)

 

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