2014年「消費者志向エキスパート養成講座」を下記のとおり開催いたしました。本講座は企業、行政、消費者関連団体の方々に対して、消費者志向経営に関する知見をお伝えすることを目的としています。消費者対応をはじめ企業経営、品質管理、法務、広報、CSRなどあらゆる場面で戦略的に消費者志向を進める人材育成の支援が狙いです。

開催概要
【第一回】  2014年11月20 日(木)13:30 ~ 16:40
【会 場】  中央大学駿河台記念館560号
【プログラム】
1.開催挨拶
<本講座の狙いと意義、これからの企業に望むこと>

NACS消費者志向推進委員会 委員長 英賀成彦

2.講演
1)消費者行政

「地方消費者行政における事業者の役割について」

消費者庁審議官 服部高明氏

2)消費者志向経営の進め方

「新たな枠組みで消費者志向経営を見直す」
サステナビリティ消費者会議 古谷由紀子氏

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英賀消費者志向推進委員長

1.開催挨拶
<本講座の狙いと意義、これからの企業に望むこと>
NACS消費者志向推進委員会委員長 英賀(アガ)より、参加者の皆様へ向けてご挨拶をさせていただきました。当初ご挨拶をさせていただく予定だった副会長の高橋に替わり、講座の主旨及び目的、当日ご参加いただいた皆様に持ち帰っていただきたい消費者志向経営上の要点についてお話させていただきました。

2.講演
1)地方消費者行政における事業者の役割について
消費者庁審議官 服部 高明 氏
服部氏には「地方消費者行政における事業者の役割について」というテーマで、これまでの地方消費者政策の変遷並びに取り組み、今後の課題、企業に望む事等についてご講演いただきました。また、足元の動きとして「地域での高齢者・障害者の見守り」を例に、消費者市民社会に向けた歩みをお話いただき、この取組みにおいては消費者政策だけでなく企業に求められる役割も重要となる事、消費者行政と企業の助け合いが消費者市民社会へのステップになっていくというお話をうかがいました。参加された企業の皆様からも、これまで以上に消費者ニーズをしっかり汲み取り、消費者が自分の思いを実現できるような製品・サービスを提供していくことが重要だというメッセージを実践していきたいという声が寄せられました。

2)新たな枠組みで消費者志向経営を見直す
サステナビリティ消費者会議 古谷 由紀子 氏
古谷氏には「新たな枠組みで消費者志向経営を見直す」というテーマで消費者志向経営の進め方について重要な考え方やエッセンスをご講演いただきました。長年、消費者志向経営に関する調査・研究・講演を数多くこなしてこられた経緯と豊富な実践経験に裏付けられた解説は大変興味深く、テーマに応じた具体的な取組み事例をうかがう事が出来ました。出席された企業の皆様にとって、普段なかなか聞く事の出来ない他企業の取組みに、現在の自社における課題の糸口が見つかった、とても参考になった等、喜びの声が多数寄せられました。

3.所感
服部氏の講演では、消費者関連法とそれぞれの中でイメージされた消費者像をもとに消費者法がどのように変わってきたのか分かりやすく解説していただき、消費者志向経営を推進する上で基礎となる部分の理解を深めていただけたと思います。また、消費者が社会への参画を消費という側面を通じて実現する中で、事業者もしっかりと消費者と向き合い消費者と事業者との様々なチャネルを通じた対話が重要であるという問題提起は、参加された企業の皆様が自社での取組みに活かしていただく参考にしていただけたのではないでしょうか。更に、古谷氏の講演で解説された具体的な企業の取組み事例は、消費者志向経営の推進を図る上で非常に有益な情報共有並びに実践プランの具現化に向けた有意義な時間にしていただけた事と思います。
参加された皆様からも、両講座を通じて消費者志向経営とはどういうものか、どのように何を取り組んでいけば良いか理解が深まり参考になったとの事で好評のうちに終了致しました。
ご来場の皆様に深く感謝申し上げると共に、今後も消費生活に関する専門家集団として、今後も消費者志向経営の推進に貢献させていただく所存です。

開催概要【第二回】  2014年11月28 日(金)13:30 ~ 17:00【会 場】  全国婦人会館2階【プログラム】≪消費者の安心・安全≫1.「新しい食品表示基準について」

NACS食生活特別委員会 蒲生 恵美氏

2.「古くて新しい健康食品問題の深層」

ジャーナリスト 社長室 コーポレート小林 嬌一氏

3.情報交換会

NACS消費者志向推進委員会

始めにNACS食生活特別委員会 蒲生恵美氏から「新しい食品表示基準について」と題して、機能性表示制度を中心にご講演いただきました。「機能性表示食品」は、2013年6月14日に公表された規制改革実施計画で、トクホや栄養機能食品以外のいわゆる健康食品・加工食品および農水産物について機能性表示を容認するという方向が示され、2015年6月の施行を目指して検討が進められています。8~9月にパブコメも実施済みで、ご講演の前々日の11月26日にも消費者委員会食品表示部会が開かれて議論が最終段階に入っているところです。
「米国ダイエタリーサプリメント制度」を参考に、国ではなく企業の責任で、科学的根拠をもとに健康機能性表示を行い、消費者は自己責任においてそれを選択し摂取するようになります。そのため現在、安全性確保の在り方、科学的根拠の考え方、誤認のない食品の機能性表示の在り方、国の関与の在り方等の検討がなされています。その過程で浮き彫りになった課題について、わかりやすくご説明いただきました。
次に、「古くて新しい健康食品問題の深層 ~機能性表示食品制度にもの申す~」と題して、ジャーナリスト 小林 嬌一氏からご講演いただきました。
40年前の紅茶キノコブーム以降、海藻、胡麻、アロエ、ニンニク、山菜、納豆、梅…と、あらゆる物が健康によいとされてブームになりましたが、これは近年に限ったことではなく、江戸時代には高麗人参が健康によいと珍重され、食べ過ぎて病気になったりするなど、今も昔も不健康食品がはびこり、“健康食品”の定義が曖昧という状態が続いています。また、“健康食品”の根拠に欠ける広告に関しては、業界の責務は重いと指摘されました。日本には長寿の源の和食文化があるのだから、“健康食品”に力を入れる必要があるかどうかについて、業界団体を中心に議論するよう提起されました。最後に、事業者は単に「売れれば良い」という発想ではなく、過去を調べて理解し、深層がどうで、将来の展望を検討する、また健康食品に対する深い造詣を持ち、噛み砕いて話のできる専門家を育成し、消費者団体、消費者運動を育てることが様々なリスクを防ぐことになるとまとめられました。
情報交換会は名刺交換から始まり、小林先生にも加わっていただき活発な議論がされました。30分ほどの短い時間ではありましたが、「まだ決定していない中ではあるが、現状を聞く事が出来て大変良かった」「表示への記載事項が多く、一般の方にはわかりにくくなる。どう伝えればよいか、社内で勉強会をして、消費者に理解していただける体制にしたい」「まじめに向き合っている企業が報われるように、事業者間で協力していきたい」など、受講生の皆様のご協力により、様々なご意見や感想が聞かれ、大変実り多い時間となりました。

開催概要
【第三回】  2014年12月4 日(木)13:30 ~ 17:00
【会 場】  全国婦人会館2階
【プログラム】
≪企業の個人情報のあり方を考える≫
1.「個人情報ガイドラインの改正について」

経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 篠原 治美氏

2.「マイナンバー制度で何が変わる」

新日本有限責任監査法人 公認会計士 梅澤 泉氏

3.情報交換会

NACS消費者志向推進委員会

2014expert1第一講座では、2003年5月の個人情報保護法の成立から、当初想定していなかったビジネス領域が拡大したり、サイバー攻撃や個人情報漏洩事件が顕在化していることから、個人情報保護法のガイドラインの見直しについて、担当の経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 篠原氏から講演いただきました。まず、ガイドライン見直しについての背景と検討のポイントをお話しいただき、事例としてベネッセにおける事案の経緯・概要のお話がありました。続いてガイドライン改定のポイント、①社内安全管理措置の強化、②委託先等の監督の強化、③第三者からの適正な情報取得の徹底、を具体的に案内いただきました。参加者からは、内容もわかりやすく社内における体制強化に非常に役立ったという感想をいただきました。
2014expert2第二講座では、2016年1月から利用開始されるマイナンバーについて、マイナンバー制度の概要および民間事業者の実務への影響を、新日本有限責任監査法人 公認会計士梅澤氏から講演いただきました。まず、マイナンバー制度とはどういう制度なのか、利用可能分野は何か、マイナンバー法の構成や違反に対する罰則について解説いただきました。それを受けて、事業者の実務にどのような影響があるのか、マイナンバー法施行後の事務の流れや情報管理、対応作業スケジュール、想定される重要課題等、お話しいただきました。講演後の質疑応答にも実務レベルの質問が多く、関心の高さが伺えました。
講演後の情報交換会には梅澤氏にも出席いただき、企業における個人情報のあり方について、交流を深めながら情報交換を行うことができました。企業は個人情報を持つことの認識と責任をしっかりと自覚し、消費者志向経営を実践すべく必要な対策を自ら考える良い機会となりました。