01 .高齢者が購入した高額社債を解約したい
相談概要
85歳の一人暮らしの父の家に社債の販売業者が来訪し、1年間で4口400万円の社債を購入させたようだ。社債を発行している会社は実在するようだが、騙されているのではないかと心配だ。父の家にある社債の申込書や払込み確認書を見て、不審に思っている。信用できないので解約し返金してほしい。父も返金してほしいと言っている。どうしたらよいか。(50代 男性)
アドバイス
- 高齢者は老後のお金に対する不安も大きく、在宅率も高いので、訪問販売や電話勧誘等をきっかけに、このような投資取引の契約トラブルに巻込まれやすいといえます。
- 利息や配当が滞ったり、事業者と連絡が取れなくなったりすることで、問題が表面化するケースも多いようですが、こうした場合、事業者の資金はほとんど残っておらず、被害の回復が困難であるケースがほとんどです。
- 訪問販売業者が他社の社債を販売する場合は、金融庁の登録が必要であり、訪問時の経緯を確認することが大切です。
- もし無登録業者が販売した場合、「特定商取引法」の訪問販売と考えられ、契約書面の不交付や、契約書面に不備があれば、クーリング・オフが可能なケースもあります。
- さらに、勧誘時のセールストークなどに問題があれば、問題点を指摘して解約の話合いが可能になる場合もあります。
- 本人が事業者から受け取ったすべての書面類を持って、居住地の消費生活センターに早めに相談することが重要です。
一口メモ
*「社債」とは?
企業が資金を調達するために発行する「有価証券」(債券)で、返済期日や利息率が記されており、企業が投資家に対して発行する「借用証明書」の役割を果たすものです。償還期限を迎えると、貸したお金は利息付きで戻ってくることが約束されていますが、企業が破綻などの事態になった場合、返済されないリスクがあります。
*「社債」などの販売・勧誘
「他社の社債」などの販売・勧誘を行うことができるのは、金融庁から免許、許可、登録などを受けている金融商品取引業者(証券会社)に限られています。登録を受けている事業者は、金融庁のHP「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で確認できます。一方、「自社の社債」の販売は、当該社債の発行会社でも可能ですが、一般的に発行体自らが不特定多数の者に対して、訪問販売や電話勧誘販売などで「社債」を販売することは考えられません。無登録の事業者や社債発行会社との直接取引は大変危険といえます。
*平成28年改正「特定商取引法」
指定権利に「社債その他の金銭債権」「株式会社の株式、合同会社、合名会社若しくは合資会社の社員の持分若しくは社団法人の社員権又は外国法人の社員権でこれらの権利の性質を有するもの」が新たに加えられました。「金融商品取引法」の適用対象取引ではない、社債や株式などの訪問販売・通信販売・電話勧誘販売のケースには「特定商取引法」の規制が及ぶことになりました。無登録業者による未公開株取引などはその典型例といえます。