石油連盟事業 概要報告(2017年度)

石油の役割 〜災害への備えを考える〜

 

《概要》

東日本大震災から6年が経過し、その間にも広島土砂災害(2014年)、熊本地震(2016年)と大災害が続き、 全国的に防災意識が高まっている。
2016年度は、地方で生活する消費者の防災・減災への意識をさぐり、 併せて災害時における石油の役割を考えるため全国4ヵ所で意見交換会を行ったが、想定される災害の備えは、 地域や災害経験度によって認識が違うこと、特に災害の少ない地域住民には、 我がこととして認識するまでに至っていないことがわかった。
そこで2017年度は、さらに新たな4地域で消費者との意見交換会を開催した。
7年前に大震災に見舞われた仙台からスタートし、同じく冬の寒さを意識しての準備が重要と思われる北海道、 2年前に大震災に見舞われた熊本、そして最後は大都市横浜で順次開催した。なお、開催に当たっては、 東北支部、北海道支部、九州支部熊本分科会、東日本支部神奈川分科会の協力を得て開催した。
今年度の意見交換会のテーマは、防災・減災や生活の備えについて自分ができることを具体的に検討しながら、 石油の備えについても考えてもらうとともに、石油に関する情報提供のあり方を探ることとした。

《活動》

1.仙台における消費者との意見交換会

日時  :2017年8月19日(土) 13:30〜16:40
会場  :ハーネル仙台 会議室
参加者   :13名
石油連盟 : 1名
環境委員会:3名

  

東北大震災を経験している仙台での意見交換会では、いつどこで大きな災害が起こるかわからない現実がある中で、 改めて大震災での実体験に基づいた、石油に関する防災、減災について忌憚のない意見が出た。


2.札幌における消費者との意見交換会

日時 :2017年10月17日(土) 13:30〜16:30
会場 :札幌エルプラザ2階 消費者サロン1
参加者   :7名
石油連盟 :1名
環境委員会:3名

  

北海道は寒冷地なので、防災における熱源の確保については意識が高いのではないかと想像していたが、 これまで大きな自然災害がなかったこともあり、住民、自治体共に防災・減災に関しては意識が低いとの自己認識であった。
とはいえ、いざとなったら「暖をとる」ことは命をつなぐうえで最重要であることから、 北海道の暖房事情をふまえた具体的な議論が行われた。

北海道の暖房事情
一戸建てでは家屋の外にホームタンクが設置されており、冬場はこのタンクと連結した固定式のFFストーブ (移動式のポータブルストーブとは別のもの)で暖房するところが多い。タンクには事業者が巡回して灯油を補充する。
ポータブルストーブは、別途灯油を購入する形となる。マンションでは灯油ストーブは禁止されているため、 電気とガスが止まった際には暖房も止まる状況にある。


3.熊本における消費者との意見交換会

日時  :2017年11月12日(土) 13:30〜16:30
会場  :熊本市現代美術館内 会議室
参加者   :13名
石油連盟 : 1名(中田氏)
環境委員会: 4名

  

2016年4月に熊本地震が起こり、参加者の多くは被害を受け、やっと被害からの復旧がひと段落したところである。 これらの経験、ならびに現在の心境や状況を聞かせてもらうことができた。


4.横浜における消費者との意見交換会

日時 :2017年12月23日(土) 13:30〜16:30
会場 :かながわ県民センター 804号室
参加者   :18名
石油連盟 : 1名
環境委員会: 3名

  


《2017年度の考察と今後の活動に向けて》

2017年度の意見交換の結果、地域によって防災に関する危機感の違いはあれ、石油に関して考えられた備えや要望、 課題等にはいくつかの共通点が見られた。
解決に向けた検討が必要と思われるポイントして、「石油に関する備え」については、寒い季節の災害時、 石油ストーブが使用禁止の集合住宅で自宅待機せざるを得ない被災者や避難所の被災者が、 猛烈な寒さと冷えに見舞われるといった課題が挙げられる。昨年のまとめにも記載したが、 避難所となる学校や公民館での対策の検討(公助)が求められるとともに、 少なくとも電気とガスが止まってもお湯を沸かせる設備、燃料、湯たんぽなどのローテク暖房機器の準備をすること (自助)は必須であると思われる。この点については、石油事業者やSS、 またコンビニや地域の事業者などができること(共助)を検討することも有益なのではないか。

 「石油に関する情報」については、災害時における情報の出し方、あり方が課題として挙げられる。  東日本大震災で流れた不安を煽るようなフェイクニュース、  熊本地震では情報の信憑性の問題やツィッターによる情報拡散の即時性が引き起こすトラブル等、  災害時特有の問題点が意見交換会で指摘された。災害前の備えに対する情報のあり方、出し方の検討だけでなく、  災害発生時の情報の出し方、あり方を真剣に考えておく必要があると実感した。

このほか、東日本支部神奈川における意見交換会では、石油コンビナートが近くにあることから、 東日本大震災の時の千葉のガスタンク爆発が思い起こされ、 いざという時の危険情報や避難情報がどのように提供されるのか、あらかじめ知っておく必要があるとの意見があった。 大切なのは、その地域が置かれているさまざまなリスクとその対策状況を、地域の人々が理解し、 緊急時にも冷静に受け止められる状況を作り出しておくことであり、今後とも各地域の意見交換会で、 このようなテーマを扱っていくことの必要性を強く感じている。

災害時の体験を思い起こしたり、また、災害と石油を関連付けて考える機会を持つことができるのは、 このような地域での意見交換会があったからであり、上記の課題を検討していくためにも、 更に多くの地域での意見交換会開催が必要だと考える。 ワークショップの後に提供される石油連盟からの情報は、常にアップデートされており、 地域の防災を考える上でも非常に参考になっている。 また、意見交換会ではそれぞれの地域ならではの経験や情報などに触れることも多い。 NACS環境委員会としては、今後も全国各地で同様の意見交換会を開催し、意識啓発につなげていきたいと考えている。

《石油連盟事業について》

NACS環境委員会では、2012年度から2015年度の4年間、石油連盟の委託を受け、 身近なエネルギーのひとつである「石油」をテーマとした活動を行なってきた。その結果、消費者は石油も含め、 エネルギーは漫然と利用するのではなく、自覚を持って選択し、利用していくことが重要であると確認でき、 その普及啓発として、全国の支部において意見交換会を開催してきた。

2016年度からは、災害時におけるライフラインとしての石油の重要性に注目し、 「石油の役割〜災害への備えを考える」をテーマとした意見交換会を実施している。

《これまで行ってきた活動例》
エコプロダクツ展、消費者啓発用小冊子をクリックするとそれぞれのページが表示されます。

<2012年度>
・「ガソリン」「灯油」に関する勉強会 東京2回
・東亜石油(株)京浜製油所の見学会
・「ガソリン」「灯油」に対する消費者意識web調査およびヒアリング
エコプロダクツ展2012への出展(〜14年度)

<2013年度>
消費者啓発用小冊子「商品の一生を知ろう〜くらしのなかの石油〜」作成(〜14年度)
・意見交換会(東北支部、神奈川・熊本・三重・長野分科会の5か所)

エコプロダクツ展2013への出展

<2014年度>
・意見交換会(新潟分科会(「石油の里」の見学会も実施)、栃木分科会、 千葉分科会、中国支部島根の会、明治大学の5か所)
エコプロダクツ展2014への出展

<2015年度>
・「石油に関する認識・浸透度アンケート調査」
・意見交換会(中部、西日本、北海道支部の3カ所)
・創エネハウスの見学会

<2016年度>
・意見交換会(中部、西日本、中国、九州支部(沖縄分科会)の4カ所)
・防災・減災における石油の役割の情報提供

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