消費者庁の設立(平成21年9月)
福田元首相が2008年1月の169通常国会の施政方針演説の中で「消費者行政を統一的、一元的に推進するための強い権限をもつ新組織」の設立を掲げてから1年猶予を経て、2009年4月17日に衆議院の本会議で、同じく5月29日に参議院の本会議で消費者庁関連3法案が可決成立をみました。骨子は
●消費者庁及び消費者委員会設置法・・・・・・・・・・・・組織法
○任務、所掌事務、消費者委員会等
●関係法律の整備法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・作用法
*各府省庁からの移管・共管・・29の法律
(表示)景品表示法、JAS法、食品衛生法等
(取引)特定商取引法、特定電子メール法、貸金業法、割賦販売法、旅行業法等
(安全)消費生活用製品安全法等
●消費者安全法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・作用法
○基本方針の策定
○地方自治体の事務(苦情相談、あっせん等)
○消費生活センターの設置
○消費者事故に関する情報の集約
○消費者被害の防止措置(公表、措置要求、事業者への勧告・命令等)
というものです。 行政のパラダイム(価値規範)の転換と位置付けられますが、法律の制定過程で衆議院では23の付帯決議、参議院では34の付帯決議を可決しています。主なものは、
○消費者教育については学校教育・社会教育あらゆる機会を活用し、推進体制の強化を図り、かつ、消費者教育を担う人材育成のための措置を講ずること、
○消費生活センターで委託等を採用している場合、相談員の処遇の改善が図られるよう万全を期すこと、
○消費者被害の情報収集、消費者への啓発等を行う消費者団体に対し、関係する情報を提供するとともに、活動のための施設や資金の確保等の支援の検討を行い、必要な措置を講ずること等々です。
ただ、箱ができたにすぎません。これに、どのようなビジョンを組み込み、生きた、血の通った行政組織にしていくかは、消費者の生活者の監視と提言が必要であり、消費者委員会という外部有識者の役割も重要です。