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わが家のキッチン!HACCP対応!! (第12話)

わが家のキッチン!HACCP対応!! (第12話)

前回から、カレーライスとサラダをぐって、“危害要因”(Hazard)とは何かを考えています。
★今夜のメニュー:カレーライスと生野菜のサラダ
★カレーの材料:豚肉、たまねぎ、じゃがいも、にんじん、ピーマン、カレールウ、水
★ごはん:米、水
★サラダの材料:トマト、レタス、きゅうり、ゆでたまご

 

家で作るカレー、どんなものが“危害要因”?

この中で“危害要因”として、どのようなものが考えられるでしょうか?
ざっと、以下のように整理できます。これは、家庭でカレーライスと生野菜のサラダを作る場合に安全性に影響を及ぼすと考えられる要因で、主に、材料の状態と保管、下ごしらえの場面を想定したものです。
もちろん、これら危害要因の存在することが健康危害に直結するのではありません。たとえば、化学的要因として、“農薬”を挙げていますが、適切に使用されている限り、危害には至りません。
冷静に、客観的に、危害要因の存在を見つけ出すことが大事です。どの程度の頻度で、どのくらいの危害が発生するのかについては、この後にじっくりとかんがえることにしましょう。

 

≪材料~下ごしらえの段階≫

メニュー 材料 考えられる危害要因
(生:生物的要因、化:化学的要因、物:物理的要因)
危害要因の性質 管理方法
カレー 豚肉 食中毒原因微生物
寄生虫
抗生剤などの動物用薬剤
金属片
たまねぎ
にんじん
ピーマン
じゃがいも
食中毒原因微生物
じゃがいものソラニン
農薬
金属片
カレールウ アレルゲン
食中毒原因微生物
重金属
ごはん コメ 食中毒原因微生物
農薬
重金属
食中毒原因物質
重金属
サラダ トマト
レタス
きゅうり
食中毒原因微生物
農薬
金属片
たまご 食中毒原因微生物
動物用薬剤

 

包丁で切る食材については、物理的危害要因として、“金属片”を挙げています。以前に、包丁の刃こぼれについて述べましたが、包丁や金物ザルの破片などを想定しています。いつも金属片の発生が懸念されるわけではありません。でも、錆びてきたり、硬いものを切った後など、刃こぼれになるきっかけがあるかもしれません。そんな時に、“金属片が入ってしまうかもしれない。大丈夫かな?”と確認できるように、危害要因として挙げておくことが大事です。

このように整理してみると、普段、意識している、していないにかかわらず、いろいろなものが危害要因として挙げられるということがわかります。

“危害要因の性質”、“管理方法”については、第14話で考えます。

 

 

虫の付着は危害要因? いいえ。

サラダに使うきゅうりやトマト、レタスに虫が付いていたら・・・どうする?虫の付着も危害要因では?と思うかもしれません。
確かに、衛生的とは言えないでしょう。虫が食中毒の原因菌の媒介となることはあるかもしれません。食中毒原因菌は危害要因としますが、虫そのものは危害要因とはせずに、“不衛生物”として取扱います。生産現場や、保管、調理現場の衛生管理として、防虫に取り組むということです。

 

 

●塩分の摂りすぎは危害要因? いいえ。

ところで、血圧が高い人にとって、カレールウや調味段階で使う“塩”は危害要因となるでしょうか?
これは、危害ではなく、“栄養管理”のことなので、危害要因とはしません。特に気をつけなければいけないということであれば“栄養管理の対象”として、摂りすぎないようにメニューの選択、味付けなどを工夫しましょう。

食材に由来する“危害要因”だけでなく、私たちが調理をするときには、包丁やまな板、お鍋やバットなど、いろいろな器具も使います。また、調理する人も介在します。ここでは、調理する際に包丁でカットする食材について、物理的危害要因として“金属片”を挙げています。他に、水をガラスのコップで測りとる場合などは、“ガラス片”を挙げることも考えられます。

 

 

次回は、食品工場での危害要因の検討について、レタスを事例に考えてみます。
みなさんは、どんなレタスを思い浮かべますか?

 

くらしに役立つミニ知識

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