わが家のキッチン!HACCP対応!! (第13話)
今回は、食品工場での危害要因の検討について、レタスを事例に考えてみます。
レタスだって・・・お店で売られているときの状態が変われば、危害要因が変わる
食品工場では、大量に食材を受け入れて、大きな設備で大量に調理(製造)します。そこで、原材料の受入れ、保管、洗浄、カット、計量、複数の原材料の混合、加熱、調味、冷却、容器への計量・充填、異物のチェック、箱詰め、製品の保管、出荷に至るまで、すべての工程について、危害要因を洗い出します。
食品工場では、原材料のカットだけではなく、包装フィルムのカットも工程で行っていることがあります。カット刃の金属や設備のねじなどがありますので、これらが管理の対象として抜けることがないように、危害要因として洗い出すことが大事です。
また、カットした状態で包装されている製品については、野菜の殺菌工程で使用された薬剤が大量に残存していると危害要因になります。
レタスを例に見てみましょう。お店で売られているときの状態・・・包装されていないものや、包装されているもの、カットして袋に入っているものなどがあります。それぞれの危害要因を比べてみましょう。
工程 | 考えられる危害要因 | レタス丸ごと、包装せずに出荷 | レタス丸ごと、フィルム包装して出荷 | 袋詰めしたカットレタスとして出荷 |
入荷(農家から出荷) | 生物学的要因 | 食中毒原因微生物 | ||
科学的要因 | 農薬や殺虫剤の大量の残留 | |||
物理的要因 | 金属片、石の付着 | |||
選別(外の葉を除き大きさをそろえる) | 生物学的要因 | 食中毒原因微生物 | ||
科学的要因 | ー | |||
物理的要因 | 金属片の混入(カット刃を使用している場合) | |||
洗浄・殺菌 | 生物学的要因 | 洗浄・殺菌工程はない | 洗浄・殺菌工程はない | 食中毒原因微生物 |
科学的要因 | 薬剤の混入 | |||
物理的要因 | ー | |||
カット | 生物学的要因 | カット工程はない | カット工程はない | 食中毒原因微生物 |
科学的要因 | 設備で使用薬剤の混入 | |||
物理的要因 | 金属片の混入 | |||
包装(容器に入れる) | 生物学的要因 | 食中毒原因微生物 | 食中毒原因微生物 | 食中毒原因微生物 |
化学的要因 | コンテナに使用した薬剤の混入 | フィルムに付着した薬剤の残留 | フィルムに付着した薬剤の残留 | |
物理的要因 | コンテナの破損片 | フィルムのカット刃由来の金属片の混入 | フィルムのカット刃由来の金属片の混入 |
包装していない丸ごとレタス→袋入りのカットレタスという具合に、加工の程度が上がると危害要因として考える場面も増えます。
だからといって、悪い影響が及ぶということでは決してありません。適切に対応するためのしくみが、HACCPです。同時に、適切な対応を決めなければ、HACCPのしくみを運用しているからといって、事故ゼロということでもありません。しくみを作ったら、その運用方法や基準が適切かどうかを検証する必要があるのです。
検証については、後からじっくりと。
※HACCPについては、冊子「HACCPは全員参加で!」にまとめました。