高齢者住宅について考える時に <その1>高齢者住宅の主な種類と入居までの流れ
高齢者住宅とは
65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は26.7%(平成27年9月15日現在推計)と、高齢化がますます進展しています。例えば親のため、あるいは自分自身のために、高齢者住宅について考えることも多くなっているのではないでしょうか。
老人福祉法等を参考に、高齢者住宅の主な種類を表1に簡単に整理してみました。
(表1)高齢者住宅の主な種類と概要
特別養護老人ホーム | 常時介護を必要とする人に対し、生活全般にわたって介護サービスを提供 | ||
老人保健施設 | 退院後にリハビリ等を行い、家庭生活への復帰をめざすための施設 | ||
介護療養病床 (廃止予定) | 長期の療養を必要とする高齢者のための病床 | ||
有料老人ホーム | 介護付 | 一般型 | 食事や見守りの他、介護サービスを提供 |
外部サービス利用型 | 食事や見守りサービスは提供するが、介護は外部の事業者が提供 | ||
住宅型 | 食事や見守りサービスは提供するが、介護は外部事業者が提供 | ||
健康型 | 介護が必要になった場合には、契約を解除し退去しなくてはならない | ||
養護老人ホーム | 身体、精神、環境上の理由及び、経済的な理由により自宅生活が困難と認定された高齢者が入居する | ||
軽費老人ホーム | A型 | 食事・入浴・緊急通報サービス付き、利用料金は所得による | |
B型 | A型同様だが、食事サービスは無く自炊 | ||
ケアハウス | 自立型 | 身の回りのことができる高齢者の入居が基本、所得制限無し、日常の生活相談等サービスが受けられる | |
介護型 | 要介護認定を受けるとケアハウス事業者が提供する介護サービスが受けられる | ||
認知症高齢者グループホーム | 認知症の高齢者が少人数で共同生活を送る | ||
生活支援ハウス | ひとり暮らしや夫婦の高齢者が入居、原則自炊だが給食サービスも可、利用料は所得による | ||
シルバーハウジング | バリアフリー・緊急通報対応の公営賃貸集合住宅で、生活援助員が安否確認、生活相談、一時的な家事援助等を行う | ||
サービス付き高齢者向け住宅 | 原則25㎡以上・バリアフリーで、生活相談・24時間の安否確認サービス提供を義務付け | ||
シニア向け分譲マンション | シニア向け設備・仕様で、高齢者を主たる対象とする集合住宅、日常生活支援サービス提供 | ||
シニア向け賃貸マンション | シニア向け仕様、高齢者を主な対象とした賃貸集合住宅 |
主に民間によって供給されている高齢者住宅はそれぞれがハード(土地・建物・設備)とソフト(サービス:安否確認・見守り、緊急時対応、生活相談、食事、入浴、介護、掃除・洗濯など)の組み合わせからなります。
歴史的な経緯によって制度が複雑で、例え同じ「種類」であっても実態は様々です。住むときの契約は利用権方式や建物賃貸借方式、終身建物賃貸借方式、所有権分譲方式といろいろあり、サービスを利用するための契約の結び方、介護保険サービスの利用方法も様々です。
入居までの流れ(主に民間によって供給されている高齢者住宅の場合)
状況によりますが、大まかには、
①資金面の検討・計画
②ニーズの絞り込み(何を優先するか)
③候補先の情報収集
④見学
⑤体験宿泊
⑥比較検討
⑦契約
⑧入居
といった流れになるでしょう。費用には最初に必要な費用、入居後に毎月あるいは利用の都度必要になる費用があります。
入居を検討する時に制度的な違いを把握することは大切な前提ですが、かといって「種類」だけで判断はできません。広告や外観、概要だけでは紛らわしく、どういうところか実態の見分けがつかないことも多いです。
候補とするそれぞれの高齢者住宅について、契約に関連する書類の中でも、「重要事項説明書」や「入居契約書」は特に重要な書類です。入居後の、サービス内容など大切な事柄が記載されています。契約前に入手して、しっかり目を通しましょう。
(執筆協力:NACS東日本支部 高齢者住宅研究会)
☞高齢者住宅について考える時に <その2>有料老人ホームについて
☞高齢者住宅について考える時に <その3>サービス付き高齢者向け住宅について