相談概要
高齢の母から、「自宅の鍵が開かなくなった」と電話があったので、ネットで見つけた事業者に見に行ってもらった。事業者は、見積もせず、特殊な鍵だと言い、開けてくれたそうだ。そして、「鍵穴掃除12万8600円」と書かれた請求書を出された。母が「そんな大金は持っていない」と言うと、事業者は「今日中に支払ってもらわないと困る。今から銀行に一緒に行こう」と返事したそうだ。母は、高額な請求に困惑したが、支払わないと帰ってくれないと思い、まずは1万円だけ支払い、事業者から、「残金は後日振込むように」ときつく言われたという。このような業者のやり方に納得できない。(50代 女性)
アドバイス
- 今回のような鍵や、水漏れ、トイレ修理等、日常生活での緊急時に対応を急ぐあまり、ネットやマグネットシール等でみつけた事業者に依頼し、内容や料金について検討できないまま契約し、トラブルにつながってしまうというケースが少なくありません。
- こういったレスキューサービスは、現場の状況次第で、説明された料金どおり依頼できるとは限らないことがあります。「業界1」「業界最安値」等と広告に記載されていても安易にとびつかず、契約する場合は、相見積を取るなど十分に検討して決めたいものです。
- 見積時は、見積の料金が発生するのか、依頼せずにキャンセルしたときにキャンセル料が発生するのか等、あらかじめ事業者に確認しましょう。料金やサービス内容に納得できない場合は、きっぱり契約を断ることも必要です。
- 見積をとるだけのつもりで事業者を呼んだにもかかわらず、その場で契約を結ばされたり、依頼した修理とは別の契約内容を結ばされた場合等は、「特定商取引法」上の訪問販売に該当し、クーリング・オフができると考えられます。
- クーリング・オフは法的に不備のない契約書面を受取った日から8日以内であれば、無条件解除が可能です。法定書面が交付されていなければクーリング・オフ期間は進行しないため、いつまでもクーリング・オフが可能となります。
- このような事業者とのトラブルに備えるために、トラブル時、緊急に修理を依頼できる事業者について、日頃から情報を収集しておきましょう。
- 今回の事例では、単に事業者に見に来てもらい、見積を依頼するつもりであったが、料金や契約内容の説明もなく鍵を開けたということであれば、訪問販売に該当すると考えられます。また、強引な料金の取立て等、事業者のやり方にも問題があります。残金を振込む前に、当事者と共に居住地の消費生活センターに相談しましょう。