nacs 公益社団法人 日本消費生活アドバイザーコンサルタント・相談員協会

CONSULT

相談事例14

CONSULT

新しい形態の電子商取引、フードデリバリーアプリ、クラウドファンディング、英会話レッスンサブスクリプション

相談事例14

50代 女性

相談概要 1

フードデリバリーアプリを初めて利用して、飲食店に弁当の配達を依頼した。注文から20~30分たっても店舗からの到着連絡がなく、アプリを確認したら配達完了の扱いになっていた。注文した弁当はドアの前に置いてあったが、不審に感じたため廃棄した。返金を望む。

アドバイス

まず、フードデリバリーアプリには以下の2種類があります。

  1. 出前館やUberEATSなどのフードデリバリープラットフォーム企業が、複数店舗の飲食物を配達する
  2. ファーストフードチェーンなど飲食業界の企業が、自店で扱う飲食物を配達する

①②いずれの場合も、初めて利用するときや、利用に不安を感じたときは「利用のてびき」等のガイドページや利用規約を探し、店舗またはプラットフォーム運営側のどちらに問い合わせればよいかを確認するようにしましょう。 利用したアプリが①にあたる場合、利用者側にトラブルの原因がなければプラットフォーム側が対応する場合もあります。

<配達遅延・届かない>

フードデリバリーアプリの利用における消費者トラブルで多いものは、「飲食物の配達が遅い」「飲食物が配達されない」です。

【原因1】

曜日や時間帯によっては調理の人手が不足して、調理に時間がかかっている可能性があります。調理から配達までの進捗状況がアプリ上に表示されますのでこまめにチェックするようにしましょう。曜日や時間帯を勘案してもなお時間がかかりすぎているように感じられたら、ガイドページや利用規約に記載された先に問い合わせましょう。

【原因2】

配達員が注文者の家を見つけられずに時間がかかっていることがあります。調理が完了して配達の段階に入ると、配達員の現在地がアプリ上に表示されます。配達員が迷っているように感じられたら、アプリを通して直接連絡できますので、目印になる建物などの情報を伝えて下さい。

【原因3】

「置き配」に消費者が長時間気付かない可能性があります。「置き配」とは、配達員が商品を手渡しせず、あらかじめ消費者が指定した場所(玄関先など)に商品を置いて配達完了とする配達方法です。置き配を希望しない場合は、設定画面から配達の設定を変更するようにしましょう。

置き配が完了したことを通知するアプリもありますが、気付かない可能性があるので自らアプリで確認する方が安心感を得られます。

相談事例 2

クラウドファンディングのプラットフォームサイトを介してメーカーを支援した。クラウドファンディングが成立し、お礼の品(リターン)が配達されたので早速使ってみたが、すぐに故障してしまった。事業者に返品・返金を申し出たが拒否された。納得がいかない。(50代 女性)

アドバイス

クラウドファンディングは、新製品や新サービスを国内市場に普及させたいプロジェクト主催者(主に企業)が取りうる資金調達手法の一種です。インターネットを通じて、一定の期間内に、不特定多数から支援金を集めるというものです。企業がお礼として、新製品や新サービス等(リターン)を提供するケースもあります。

一方、消費者側から見たクラウドファンディングの魅力は、まだ市場に普及していない高付加価値な製品等を正規の価格より安価で入手できるお得感に加え、プロジェクトを応援する喜びや満足感も得られるところにあります。

事例にあるようなクラウドファンディング専門のプラットフォームサイトも多数存在し、ネット通販を利用するような気軽な感覚でプロジェクトを支援できるしくみが整っています。しかしながら、クラウドファンディングはその性質上、「リターンが届かない」「リターンに不具合があった、または品質が期待値に満たなかった」といったリスクが一般的な通販サイトより高く、注意が必要です。

■リターンの発送に関するトラブル■

【原因1】

クラウドファンディングでは、目標金額に対して2つの対応方式があります。

  1. All or Nothing方式:目標金額を達成した場合のみリターンが届く。達成しなかった場合はリターンを受け取れず、支援金も戻らないリスクもある。
  2. All in方式:目標金額を達成できなくてもリターンが届く。

支援対象のプロジェクトがどちらの方式を採用しているかはサイト上に記載があるので見落とさないようにしましょう。また、All or Nothing方式を採用するプロジェクトを支援する場合は、サイト上で現時点の目標達成率を確認しましょう。目標達成率が少ないAll or Nothingプロジェクトは、リスクを念頭に支援するか、他の支援方法や、支援自体を取りやめることも検討しましょう。

【原因2】

新製品開発のプロジェクトで製造トラブルが発生すると、発送が遅れます。プロジェクトの進捗はニュースレターやサイトから確認するようにしましょう。

【原因3】

製品を輸入するプロジェクトの場合、船便など日数がかかる輸送手段を利用していること、通関に時間がかかっていることが考えられます。

【原因4】

商品やサービスを提供する意思がないにもかかわらず、集まった支援金を別の目的に流用しようとする詐欺的なプロジェクトも少数ながら存在します。トラブルになりそうな場合は消費生活センターに相談しましょう。

■リターンの品質に関するトラブル■

【原因1】

クラウドファンディングの製品やサービスは、まだ市場に普及していないので、実物はもちろん、口コミやレビューも参照できません。不安がある場合はプロジェクト主催者に確認し、場合によっては支援の取りやめも検討しましょう。

【原因2】

海外製品の中には、日本の安全基準を満たしていないものがあります。例えば電動アシスト自転車が、日本の公道を走れない仕様でした。日本の法規制に適合する旨の記載がサイト上にあるかを確認しましょう。国民生活センター等が発信する製品安全情報もあわせて確認しましょう。

相談事例 3

「オンライン英会話レッスンが1週間お試し無料」というネット広告を見つけた。無料レッスンを受講したかったので、会員登録と、レッスン受講に関するサブスクリプション(以下、「サブスク」)契約を行った。5日後に退会手続きを取り、しばらくした後に料金を請求された。不審に思ったのでメールで問合わせたところ、カスタマーサポートから「このサブスク契約は、契約後すぐの解約であっても1か月分の料金が発生します」と回答があった。改めてホームページを確認したが、そのようなしくみであることが容易に読み取れず、納得がいかない。(30代 女性)

アドバイス

無料レッスンの部分は本契約とは別と思いがちですが、この事例ではそうではありませんでした。ホームページ上の規約にも事業者が主張するとおりの内容が書かれていました(下図参照)。

トラブルに遭わないために、事前にホームページで規約などを確認しましょう。サブスク契約においても商品やサービスの詳細(提供期間、回数、料金、解約方法)などが最終的な申し込みとなる画面にしっかり書かれているかどうか、きちんと確認しましょう。特に解約方法が書かれている場所をよく探しましょう。説明が極端にわかりにくいもの、無料を強調するもの、極端に安いものには用心しましょう。分からない点があれば電話やメールで問い合わせ、納得できる説明がなければ慎重に検討しましょう。

■解約についての注意点

解約忘れにも注意しましょう。月々単位では少額でも、年単位になるとまとまった金額になってしまいます。クレジットカードの利用明細もこまめに確認することが大切です。

【原因1】

電話での解約しか受け付けないのに肝心の電話がつながらないようなときは、迷わず消費生活センターに相談しましょう。

【原因2】

会員ページのパスワードを忘れた。パスワードを忘れた場合、IDが分かればパスワードの再発行は比較的簡単に行えますので、再発行の申請をしてください。

【原因3】

会員ページのIDを忘れた。IDが不明な場合は、メールでIDを知らせてくれるしくみがあれば利用しましょう。一から会員登録をやり直しても、元のIDと新しいIDが結びつかず、元の契約は解約できないことに注意してください。

【原因4】

会員ページのIDがロックされた。

ログインに連続して失敗するとIDがロックされた状態になり、正しいパスワードを入力してもログインできなくなることがあるので注意しましょう。早ければ3回のログイン失敗でIDがロックされるので、1、2回試してログインできなかったらパスワードを再発行するか、カスタマーサポートに問合せましょう。

アドバイス

新しいサービスを契約するときは以下のことを念頭に置いて、調べるようにしましょう。
○信頼できる情報源を使って事業者の評判を調べる。
○知りたいことや知らなければいけないことがサイト内に書かれているか確認する。不明点は事業者に問合わせる。

自身のデジタルリテラシー(※)を把握し、使いこなせないと思ったら利用をあきらめるか、思い切って解約も検討しましょう。
※デジタルリテラシーとは、デジタル技術を理解して適切に活用するスキルのことです。

また、契約前・契約後にかかわらず不安や疑問点があった場合は消費生活センターに相談しましょう。

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